14章

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「セリーナ。」 「……はい。」 真摯な表情で向き合う王太子に対し、セリーナさんはまるで今にも倒れてしまいそうなくらい顔色が悪くなっている。 でも、その理由が全然わからない……。 「今更私にこんなことを言う資格がないのはわかっている。 だが、これだけはどうしても言わせて欲しい。」 「なんでしょうか……?」 言葉でこそ続きを促しているセリーナさんだけど、その姿はまるでそれ以上聞きたくないと言っているようにすら見える。 しかし、王太子はそれには気が付かないのか、そのまま言葉を続ける。 「これまでのこと、心から謝罪させて欲しい。 本当に申し訳なかった。」 そう言って王太子が頭を下げようとした瞬間。 ガタンと大きな音を立ててセリーナさんが立ち上がった。 「セリーナ?」 訝しがる王太子の方を見ようとせず、顔を伏せたまま小さな声が漏れる。 「護衛の件は了承してくださると考えてよろしいのでしょうか……?」 「それはもちろんだ。 しかし、それより大丈夫か?何やら顔色が……。」 「ありがとうございます……。 殿下、申し訳ありません。体調が優れないので、私はこれで失礼させて頂きます……。」 消え入りそうな声で呟くと、王太子の返事も待たず、その場にいる誰にも目を向けず寮へと向かって走り出すセリーナさん。 「セリーナ様!?」 「お嬢様!!」 普段のセリーナさんなら考えられないような出来事に、その場の誰もが呆然としてしまう。 「私が突然こんな話をしたせいでセリーナの気分を害してしまったようだ。 ここは構わないから、君たちは彼女の元に行ってやって欲しい。」 「はい!申し訳ありません!」 「ミリちゃん!私も行く!」 悲しそうな声で言う王太子に形だけの礼をすると、私はマリーさん、サーシャと共に急いでセリーナさんの後を追った。
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