14章

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「セリーナさん、一体どうしちゃったんですか?」 「……。」 その背に向かって問い掛けるも、反応はない。 追い付いて来たマリーさんとサーシャも、心配そうにしている。 「お嬢様……。」 「セリーナ様?」 「なに?みんな来ちゃったの?殿下がいるのにダメじゃない。」 2人の問い掛けに、ようやく返事をしてくれたセリーナさんだけど、その声はこれまで聞いたことがないくらいに暗く沈んでいる。 「王太子殿下がお嬢様の元へ向かうように仰ったのです。ですから、そこは心配いりません。」 「そう……。殿下が……。」 「セリーナ様、王太子殿下の話された内容がそれ程不快だったのですか? 確かに私も驚きはしましたけど……。」 「違う。」 答えてはくれるけど、顔はあげてくれないし、こっちを見ようともしてくれない。 その姿が、まるで私達を拒絶しているかのようで胸が苦しくなる。 「それでしたら、一体何がお嬢様のご気分を害したのでしょうか? どうか教えて頂けませんか?」 「もう私のことはいいから。放っておいてくれないかな?」 悲しそうに尋ねるマリーさんの言葉を完全に拒絶すると、もう話すことはないとばかりに黙り込んでしまう。 「ミリちゃん、マリーさん。ここは一度少し時間を置いた方が……。」 「えぇ、そうですね……。」 その言葉に2人は寝室を出ようとしたけど、私はどうしてもその場から動く事が出来なかった。 あんなに辛そうなのに。 あんなに悲しそうにしてるのに。 1人になんか絶対に出来ない。
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