14章

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「ミリちゃん……?」 私の袖を引くサーシャに首を振り、部屋を出る意志はないことを伝える。 そんな私の気持ちを尊重してくれたのか諦めたのか、サーシャとマリーさんは何も言わずに寝室を出て行く。 セリーナさんと2人きりになった室内で、ゆっくりと近付いていく。 その気配に気付いたのか、セリーナさんの肩がピクっと動く。 「放っておいてって言ったでしょ?私の言うことが聞けないの?」 「すみません、その命令は聞けません。」 「ミリに話すことなんて何もないわよ。だから出てって。」 再び告げられる完全な拒絶の言葉が胸に突き刺さる。 すごく悲しくて辛いけど、私以上に辛そうにしているセリーナさんを放っておけるはずなんてなかった。 「なんでそんなに辛そうにしてるのか教えてくれませんか?」 「なんでもない。」 口ではそう言うセリーナさんだけど、どう見たってそんなことない。 その言葉を私が信じると思ってるんだろうか。 納得すると思ってるんだろうか。 セリーナさんにとって、私は……。 「私はそんなに頼りになりませんか? 信頼に値しませんか?」 「そういうことじゃない。」 言葉では否定されても、何も話してくれない現状が。 何も出来ないでいる現状こそが。 全ての真実を物語っているかのようで、ただただ悲しくて苦しかった。
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