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「破滅なんて回避したらっ!!!」
あふれる涙を拭おうともせずに声を荒らげるセリーナさんに、私は圧倒されてしまい何も言うことが出来ない。
「そんなシナリオの結末まで変えてしまうような事をしたら!
強制力がどう反発するかなんて想像も出来ない!」
強制力のことはもちろんわかる。ずっと悩まされて来たわけだし。
でもその反発って?
「この前の誘拐事件のこと、もう忘れたの!?
あれだって散々シナリオ改変してきたツケが回って来てるのわからない!?
本来なら巻き込まれるはずのなかった貴女まで巻き込まれたのが、どういう事かわかってる!?
シナリオから離れれば離れるほど、元に戻そうとする力が強くなってるのよ!!」
シナリオ通りに事態を進めようとする強制力。
私達がこれまでに色々して来たことによって、シナリオと現実は大きくかけ離れている。
セリーナさんはそのことが強制力を強めているのでは?と考えている。
そこまでは理解した。では、そうだとしたらセリーナさんは。
「それなのに私の破滅まで回避したら……。
どれだけ恐ろしい事が起きるか想像もしたくない!
今度こそ貴女達の命に関わるかもしれないのよ!?
なんでそれがわからないの!?」
やっぱりそうだ。この人は……。
「貴女達まで巻き込んで不幸にするくらいなら、私1人が破滅した方がよっぽどマシなのよ!!
わかったのなら、もう私と殿下のことは放っておいてっ!!」
セリーナさんの考えが私の予想と一致しているとわかったその時。
何かが私の中でプチンと音を立てて切れた。
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