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「ミリを一目見た時に、すぐに日本人だってわかった。何せ制服着てたものね。
それにね?」
抱き締めていた腕を解くと、体を少しだけ離してじっと私の目を覗き込むセリーナさん。
その目はとても優しく、慈愛に満ちている。
「貴女には初めて会った気がしなかったの。
実は私、前世では妹がいたんだけど、何となくあの子に雰囲気が似てるのよね、ミリって。」
そう言えば、セリーナさんからは何回も公爵家の養女になって妹になれと言われて来たことを思い出す。
最近は奥様までそれに便乗してくるから困っていたけど、そういう理由だったのかと納得する。
「だからね、その時思ったの。
あぁ、私はこの時のためにここにいるのかなって。
ミリを守って、絶対に幸せにする。
それが私がこの世界にいる理由なんだって思えたの。」
「だから、ミリが公爵家に来てからお嬢様は明るくなられたのですね。」
マリーさんの言葉に頷くセリーナさん。
私のことを大切にしてくれているのは、最初からわかっていた。
てっきり同じ日本の記憶を持つ者として親しみを感じてくれたからだと思っていたけど、そんな事まで考えていたなんて想像もしていなかった。
「この学校に来て、サーシャが私に会いたいって言ってるってミリから聞かされた時ね。
最初は断ろうと思ったの。
ヒロインと一緒にいたら何を言われるかわからなかったし、関わり合いにならない方がいいと思ってたから。」
「セリーナ様……そんな……。」
ようやく泣き止んでいたサーシャが、また悲しそうに顔を歪める。
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