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「でもね、ミリに頼まれちゃうと断れないのよね。なんでかわかんないけど。
それにね、ゲームでのサーシャは最後まで断罪される悪役令嬢の私を庇い続けるくらい優しい子だった。
そんな子なら、親しくなっておけば、私が破滅する時にミリの事を頼めば守ってくれるかなって思ったのよ。」
「もちろん!何があってもミリちゃんは守ります!
でも、セリーナ様のことだって守りますからね!」
鼻息を荒くして答えるサーシャを見て、セリーナさんがくすりと笑う。
しかし、セリーナさんがここまで私のことを考えていてくれたなんて、全く知らなかった。
守るってこれまでもたくさん言われて来たし、実際にずっと守られていることはわかってた。
それでも、この人は私の思っていた何倍も私のことを案じてくれていたんだ。
「それで、このまま私だけは破滅するだろうけど、みんなは大丈夫だと思ってた。
でも、そんな時にあの事件が起きたの。」
事件というのは、もちろん例の誘拐事件のことだろう。
ゲームのシナリオよりも早く、しかも私まで巻き込まれる形で起きてしまった事件。
「あの時は本当に怖かった。
最近は強制力をそこまで感じていなかったけど、やはり強制力はまだ生きてるんだって。」
まだ記憶に新しい事件の話に、空気が重くなる。
特にサーシャは思い出すのすら怖いはず。
「それで私の護衛をレイナード様に頼んでくださったんですよね。」
「えぇ、そうね。」
サーシャの言葉に頷くセリーナさん。
「サーシャのことはそれで大丈夫だと思ってたけど、改めて強制力の恐ろしさを感じたわ。
思い返せば、昔からシナリオ改変をしようとすると反発はあった。
さっき言ったように、私が何とか破滅を回避しようとするほど、より状況が悪くなってたみたいにね。
だから、私の破滅は回避出来ないだけじゃない。してはいけないだって。そう思ったの。
だから、みんながどれだけ案じてくれても殿下との和解だけはしないつもりだった。」
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