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彼女に声をかけた私は、そのまま入学式の後に行われる入学記念パーティへのエスコートを申し出た。
側近であるレイナードに婚約者がいるではないかと反対されたが、私には何故反対されるのかが理解出来なかった。
どうせセリーナなら、あの狡猾な女なら私がいなくても家族を呼ぶなりどうとでもするだろうと思っていたからだ。
公爵が何故か彼女を溺愛している話は有名だったし。
そもそも、婚約者であるにも関わらず、レイナードに言われるまでセリーナをエスコートするというのが頭になかったのだ。
ドレスに身を包んだサーシャはとても美しかった。
貴族の習慣に慣れていないのも初々しかったし、私の周りには今までいなかったタイプの女性だった。
彼女の事は私が守ってあげないといけない。
そんな使命感のようなものが自分の中から湧き上がってくる感覚も新鮮だった。
セリーナがパーティに1人で来たのは予想外だったが、パーティが始まり、最初の祝辞を私が述べるのを聞き届けると早々に退室したようだった。
だが、どうにもサーシャのことを観察していたような気がしたので、今後の動向には注意が必要だとも思った。
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