間章 王太子

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調査を始めさせてすぐ、事件と噂の背後に何処かの貴族家が関わっている可能性が浮上して来た。 巧みに痕跡を隠しており、何処の家門かまではわからなかったが、これは恐らく間違いない。 そして、その目的が私の婚約者であるセリーナの排除と、今私が寵愛していると噂されているサーシャの排除であることも。 すぐにレイナードを使いに送り、2人にこの事を知らせると、セリーナが意外な提案をしてきた。 学内でのサーシャの身辺警護に、レイナードを借りたいと言うのだ。 最近セリーナはサーシャと親しくしているようだから、その身を案じることは理解出来た。 しかし、学内でまでレイナードを張り付かせるというのは些か過剰ではないかとも思える。 何故セリーナがそこまでしようとするのか?そう疑問に思うと同時に、これはいい機会だとも思えた。 豊穣祭での舞踏会や式典で顔を合わせる機会は何回もあったのに、まともに話せていなかったからだ。 レイナードを護衛に希望する理由を聞くという名目で会談を希望する旨を伝えると、すぐにセリーナと茶会の場が設けられることになった。 私は、すぐに公務に無理やり空きを作ると、今度こそは彼女にきちんと謝罪をすると強く決意してその場に向かった。
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