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15章
「さ、皆様まずはお顔を洗いましょう。淑女とは思えない有様になっています。」
マリーさんの言葉に、セリーナさん、サーシャと顔を見合わせる。
3人揃ってボロボロと泣き続けたせいで、確かに酷い顔になっている。
それが何だか可笑しくて、つい笑いが込み上げてしまい、お互いの顔を見ながらしばらく笑いあってしまった。
やがてマリーさんに促されて洗面所へと向かい、冷たい水で顔を洗ううちに気持ちも落ち着いて来て、さっきまであんなに興奮したりなんやらしていた頭も冷静になる。
そうなると思い出すのが、先程のセリーナさんとの言い争い。
私、いくら頭に血が登ったとは言え、とんでもない事を言ってしまった……。
「あ、あの、セリーナさん……。」
同じく顔を洗って戻って来たセリーナさんを、床に正座して出迎える。
「あらやだ。どうしたのよ。」
キョトンとしているセリーナさんだけど、まさかあれを忘れた訳じゃないよね?
「あの、その……。
私、さっきセリーナさんにとんでもない無礼な発言を連発したと言いますかなんと言いますか……。」
ここはもうあれだ。
日本人が誇る最大の奥義を披露するしかない。
「本当にすみませんでしたっ!!」
そう大きな声で謝ると同時に、全力で床に向けて全力で頭を下げる。
勢いが付きすぎて思い切り床に頭を打ち付けたけど、そんな事気にしてられなかった。
「ミリちゃん!?大丈夫!?すごい音がしたよ!?」
私の完璧な土下座に、サーシャが驚いた声をあげる。
一方のセリーナさんは何も言わない。
頭を下げたままの私からはその表情は見えないので、どんな顔をしているかはわからない。
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