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「そう言えば、確かバカとか言われたわね?」
「ほ、本当にすみませんでした……。」
うぅ……さすがに怒ってるよね?そりゃあ怒るよね?
このまま公爵家から出て行けって言われたらどうしよう?
いや、でもそうなっても私は私に出来る範囲で強制力をどうするか考えないと。
「ミリ、お立ちなさい。」
ぐるぐると今後の身の振り方を考えている私の頭上に、セリーナさんから声がかかる。
「こっち向いて。」
もしかしてひっぱたかれるかな?と思って顔を上げると……。
むにっ。
むにににっ。
「セ、セリーナひゃん!?」
思い切り両方のほっぺたを摘まれる。
「いひゃい!いひゃいれす!!」
悲鳴をあげる私に構うことなく、セリーナさんは無表情で私のほっぺたをビヨンビヨンと引っ張り続ける。
「わぁ、ミリちゃんのほっぺた良く伸びるねぇ!」
サーシャも変なことに感心してないで助けて……。
「お嬢様、その辺になさいませんと、ミリの顔が2倍の大きさになります。」
「それは困るわね。」
マリーさんの言葉に、そんなことはまるで思ってなさそうな口調で答えたセリーナさんは、ようやく手を離してくれる。
うぅ……痛い……。
「あ、あの?」
無言のまま、セリーナさんは私の頭にスっと手を伸ばしてくる。
反射的にビクッとしてしまったが、セリーナさんの手はとても優しく私の頭に触れる。
「?」
と思ったのも束の間、ものすごい力でわしゃわしゃと頭を撫でられた。
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