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「全く……。そんなの気にしてないわよ。
確かに言われた瞬間は少しムカッとしたけどさ。」
わしゃわしゃする手を止めずに笑うセリーナさん。
その顔はとても楽しそうで、本当に怒ってはいなそうだ。
「まぁ、ミリにあんな一面があるなんて知らなかったから驚いたけどねぇ。」
「確かにさっきのミリちゃんすごかったですもんね!」
いや、そりゃ自分でも驚いたけどって……ちょっと待って。
「もしかして、聞こえてたの……?」
恐る恐る尋ねる私に、サーシャはとてもいい笑顔を向けてくれる。
「あれだけ大きな声を出していて聞こえないはずがないでしょう?」
そしてトドメとなるマリーさんの一言。
そうだよね……。
いくら扉閉めてたって言っても、あれだけ騒げば聞こえないはずないよね……。
それはわかる。わかるんだけど、恥ずかし過ぎる……。
「あれ?ミリちゃん顔真っ赤だよ?どうしたの?」
本当にわかってないのか、無邪気に聞いてくるサーシャ。
お願い、やめて。もう許して。
「サーシャ、そのくらいに……。いえ、面白いからもっと聞いてあげなさい。」
恥ずかしさに耐えきれず、両手で顔を覆っている私を面白そうに見やりながらセリーナさんがサーシャを煽る。
これはさっきの仕返しなの!?
そうなんですね!?
私が指の隙間から恨めしそうに見ているのに絶対気付いてるはずなのに、セリーナさんは気付かないフリをしている。
何だかすごく悔しいけど、やっといつもの調子に戻ってくれたから、これはこれで良かったのかな。
とりあえず、そう思うことで自分を納得させることにした。
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