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「そうなると、やっぱり強制力をどうにかしないといけないですよね。」
「そうね……。」
私の言葉に頷くと、難しい顔をして考え込むセリーナさん。
王太子との関係は、謝罪の言葉も出たくらいだし前進した。
誰かがセリーナさんの代わりに悪役をしているかもしれない件は、一先ずはラッセル様が護衛に付いてくれる。
その悪役を担っているのがだれなのかという問題はあるけど、それも王太子やラッセル様、騎士団が引き続き調べてくれるし。
それなら、私達は私達でしか出来ないことをするべき。
そうなると強制力にどう対抗するかっていう話にはなるんだけど……。
「えっと、あの……。」
サーシャがおずおずと挙手すると口を開く。
「ごめんなさい、私、まだいまいちよく分かってなくて。
その強制力ってどういうものなんでしょうか。
物語の通りに出来事を進めようとする力っていうのはわかるんですけど。」
「その通りだけど、どの辺がわからないの?」
私の認識もサーシャと変わらない。
そういうものなんだと思ってたから、それ以上は気にしたこともなかったし。
「えっと、上手く言えないんだけどね?
人の意思を変えてまで、その物語の通りになるようにするなんて人間にはとても出来ることじゃないでしょう?
まるで神様の意思みたいだけど、それにしては限定され過ぎてる気もするし……。」
サーシャの言葉になるほどと頷く。
考えたことがなかったけど、言われてみれば確かにサーシャの言う通りだ。
「神様……。創造神か……。」
ずっと黙っていたセリーナさんがぼそっと呟く。
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