15章

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「創造神て言うと、この国で祀られてる神様ですよね?」 セリーナさんの言葉に、夏休みに公爵領へ行った時のことを思い出す。 補修工事の時に、セリーナさん発案で私達の世界でよく見るような教会の形に建物が作り替えられても「新たな創造だ!素晴らしい!」とか言ってくれるくらい自由と言うか緩いと言うかな感じだった。 「ええ、そうよ。 一応国教って言う扱いになってて、私を含めて国民の大半が信者ではあるんだけど、それ程厳格な宗教ではないの。 私も豊穣祭の式典の時くらいしかお祈りしてないし。」 「私もほとんどお祈りしに行ったことないですねぇ。」 セリーナさんの言葉にサーシャも頷く。 まぁ、私に至っては王都に教会がある事すら知らなかったしな。 「この世界の全ての理は創造神が司っていると言われてるわ。 だから、神官……それもなるべく高位の神官に話が聞ければ何かわかる可能性もあるかもしれないのだけど。」 そこで言葉を切りうーんと唸っている。 そりゃ確かにいきなり神官様相手に強制力が云々とかの話は出来ないよね。 いくらおおらか宗教とは言え、流石に何を言ってるんだと思われるだろうし。 「ラズウェイ公爵家でも、神官様にお会いするのは難しいのですか?」 サーシャの質問に、セリーナさんはゆっくりと首を振る。 「高位の神官との面談だけならなんとかなると思うの。 うちから結構な額の寄付金送ってるし、無下にはされないだろうから。 でも、初対面の神官にいきなり出来るような話ではないでしょ?」 「確かにそうですねぇ。」 正直面識がある神官様相手でも話すのは難しい気がする。 強制力の説明をするなら、ここがゲームの世界だと言うこととかも話さないといけないだろうし。 どうにかその辺には触れずに話せないものかと考えていると、セリーナさんが唐突に「あっ」と声を上げる。 何事かと顔を向ける私達ににっこりと微笑むセリーナさん。 「そうだ。お兄様がいたわ。」
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