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「カイ様ですか?」
セリーナさんの口から唐突に出た小公爵様の名前に、何故か赤面するサーシャ。
うん、順調なようで何よりです。
「そう。
お兄様は長年懇意にしている神官がいたはずだわ。
その方を紹介してもらえば、強制力云々の話は出来なくても、神殿に保管されている資料の閲覧とかは出来るかもしれない。
そこから何か手掛かりが得られるかもしれないから、試してみる価値はあると思う。」
なるほど。
どの程度の資料があるのかとかは全然わからないけど、創造神を祀る神殿になら、確かに創造神の力についての伝承とかはありそうだ。
もし、過去に同じようなことが起きたことがあるのなら、その時の記録とかもある可能性もあるし。
「そうと決まれば、早速お兄様に手紙を書きましょう。
マリー、用意してもらえる?」
「かしこまりました、お嬢様。」
心得ましたと頷き、すっと部屋を出ようとするマリーさんの背中に、セリーナさんが再度声をかける。
「あ、ちょっと待って。
もう一通手紙を書くから、二通分用意お願いね。」
「もう一通ですか?」
「うん。これといった資料が見つからないなかった場合、やっぱり何かしら話を聞かないといけなくなると思うの。
その時に、レイナード様のことを話してみようかなと思うから、先にご本人の同意を得ておかないとね。」
あぁ、なるほど。
直接強制力の話は出来なくても、レイナード様の語った明らかに強制力が原因と思われるセリーナさんへの過去の接し方。
その辺りの話なら確かにできないことはないか。
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