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「ミリちゃーん!」
私の姿に気が付いたサーシャが、元気に手を振ってくれるに対し、小さく手を振って返す。
学校帰りで制服姿のままのサーシャもやっぱり可愛いなぁ。
私達のやり取りを微笑ましいものを見るように眺めていたラッセル様が、辺りを見渡して少し首を捻る。
「セリーナ嬢はまだ来てないのか?」
「はい。普段ならもうお帰りになっているはずなのですが.......。」
そう。
実はこの場にはまだセリーナさんの姿がない。
いつも授業が終わるとさっさと寮へ帰って来るので、ラッセル様に答えたように普段ならとっくに帰って来ているはずなのにだ。
もしかして何かあったのでは?と不安になっている私を安心させようとするように、ラッセル様がニカッと笑う。
「ミリ、大丈夫だ。
セリーナ嬢に何かしようと思うような奴なんてまずいない。
それにもし万が一そういう輩がいたとしても、セリーナ嬢の周囲には殿下が.......。」
「あ!セリーナ様が来ましたよ!
セリーナ様ー!こっちでーす!」
サーシャの声に目を向けると、校舎の方から早足で歩いてくるセリーナさんの姿があった。
たぶんかなり急いでいるとは思うけど、見ただけではそうとは見えないのはさすがと言うべきか。
何はともあれ、セリーナさんが来たならすぐにお茶会を始められるようにしないと。
あ、そう言えばラッセル様がまだ何か言おうとしていたような気もしたけど、なんだったんだろ?
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