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「あぁ、レイナード様にも心配をかけてしまったわよね。ごめんなさい。」
「いや、謝られるようなことじゃない。
だが、その……。セリーナ嬢はもう大丈夫なのか?」
気まずそうな顔で謝るセリーナさんを、ラッセル様は気遣うように見ている。
「殿下は何か仰っておられたかしら?」
「俺にも特に何も仰られてはいない。
だが、あれ以来何かを考え込まれていることが増えたな。」
「そう、そうなのね……。」
複雑そうな表情で、ぽつりぽつりとあの日のお茶会の後のことをラッセル様に説明するセリーナさん。
私と喧嘩した事までは話さなくてもいいんじゃないかとは思ったけど……。
なんてことを考えていたら、面白そうな顔をしてこちらを見るラッセル様と目が合ったので、すーっと視線を逸らして誤魔化す。
「話はわかった。何かの役に立つなら、俺の事も神官に話してくれて構わない。」
そう言って頷いてくれたラッセル様だけど、ちらりと私に視線を向けると、くいっと口角を上げる。
「しかし、ミリとセリーナ嬢がねぇ。」
「そうなんですよ!ミリちゃんすごかったんですから!」
何故そんなに嬉しそうにしてるのサーシャ?
「まぁ、ミリは怒らせると怖いからな。」
いつぞやのことを思い出したのか、ラッセル様も楽しそうに笑っている。
これって当分の間言われるのかなぁ……。
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