Continuation of nightmare

9/21
前へ
/21ページ
次へ
「ま、考えるだけ無駄か。俺たちは軍をやめたが、戦争に協力する立場であることに変わりはない。心を無にして、役割に徹するだけ。なぜと問うてはならない。いつも通りだ」 バーナードはそう言って、息を吐く。腹の底にたまった邪悪を吐き出すように。 ボディーガードのような屈強な見た目とは裏腹に心は複雑で繊細。 こいつは結婚して、妻と子を得てから変わった。 色々なことを見過ごすことができなくなった、と本人は言う。 特に子供のことに関しては。 バーナードはぼくの後ろに回り、車椅子を押し始める。 「司令部からの通知。どうせ、見てないんだろ」 「ああ。今言ってくれると助かる」 「ひとつ貸しな。いいか、第三チェックポイントが襲撃を受けた。相手はヴァンクシア自由民主戦線( Free Democratic Front)とかいうふざけた名前の連中だ」 「手強いのか」 「国防情報局(D I A)がまとめたレポートによれば、何らかの電子対抗手段を有しているらしい。数日前、制圧に向かった正規軍のコンバット・エージェントランナー小隊がまんまとデコイを掴まされた挙句、返り討ちに遭ったんだと」 なるほど。 それで現地部隊はすっかり自信を無くし、結果、ぼくらにお鉢が回ってきたというわけだ。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加