第1章 ソフィ「それは、風の強い夜のこと」

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第1章 ソフィ「それは、風の強い夜のこと」

 それは、風の強い夜のこと。  窓が激しく揺らされていた。  私はベッドに寝転がったまま、手を伸ばしカーテンを少し開ける。街灯の光で窓が(だいだい)色に染まっていた。水滴が付いているところを見ると、雨もいくらか降っているみたいだ。  上体を起こし窓から外を見下ろしてみた。斜め向かいのアントリーニさんの家だけに、灯りが点いている。通りにはもちろん誰もいない。正確に何時なのかは分からないけど、まあ今は深夜だし風も強いから。  私は珍しく眠れずにいた。  ベッドに入ってすでに3時間は経っていると思うけど、私の意識は少しだって夢の世界に行くことを望んではいなかった。    だから眠ることは半ば諦め、私はぼんやりと鳥達のことを考えていた。  こんな、風の強い夜には鳥達はどうしているのだろう。洞窟か何処かに避難してるのかな? 木の上では、いくら葉が生い茂っていたとしても、これじゃ飛ばされてしまう気がする。  私はそんな風に、鳥達がどこかの木の枝に一生懸命しがみ付いている様子を想像していたのだけれど、ふと、窓の外から微かな音色が聴こえた。  何だろう……
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