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正一くんの手記
高等学校が大好きです。
入学してからの想い人清一くんを見ていられる時間だから。
夕方が楽しみです。清一くんと一緒に帰れるから。
彼ほど純粋で心の綺麗な人を見た事がありません。周りの大人も僕も汚いです。僕に触れて口づけをしては清一くんまで汚れてしまうかと恐れた時期もありました。でも僕は己の欲求に抗えなかった。
ただの杞憂でした。彼の心は綺麗なままで、僕の心も浄化していくかのようでした。
触れあっている一瞬だけの錯覚でしたが。
清一くんは内面の綺麗さを隠しておけないようです。外側にまでその美しさは溢れ出てしまっています。
僕はその蜜に僕以外が惹かれないか、清一くんが目移りしないかと心配でなりませんでした。
最も、触れていくうちに綺麗な清一くんは一途な人だと分かったので安心しました。
杞憂でした。
清一くんの汚い部分が見たいです。僕に狂って欲望を放つ姿が見たいです。僕に打たれて頬に体に僕の手形をつけ、泣き叫び鼻水を血を流しお小水までも垂れ流す清一くんが見たいのです。僕だけが汚い彼を見たという特権。それが得られれば完全に清一くんは僕のモノとなり、歪んだ顔で嗤う自分の姿も想像できるのです。
このような恐ろしく浅ましい考えは、頭の中にだけ閉じ込めて墓場まで持っていくつもりです。
綺麗な清一くんに汚い僕は見せられません。
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