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まだらの子
まだらの犬が丘の上
痩せた尻尾を震わせて
初雪積もる丘の上
くしゅんと一つくしゃみする
体を震わせて雪落とす
あばら浮き出たまだらの犬は
白くなりゆく丘の上
いつか囲んだ暖炉の火
雲を見上げて思い出す
歩むことさえ物憂げに
犬は雪にまるくなり
いつかあの子が撫でた背を
雪が静かに包み込む
ソリ引く坊やの手は赤く
売れずに残った炭俵
肩に食い込むソリの紐
一歩一歩と歩を進め
何かにつまづく坊やの足に
雪に埋もれたまだらの子
坊やはそっと抱きかかえ
ソリに乗せて行きました
家では祖母が火を起こし
囲炉裏でスープを煮るでしょう
坊やは少し早足で
雪の丘を駆け降りる
犬は霞む目少し開いたら
坊やがかぶる狐の帽子
ちょっと黙って眺めると
吹き込む風に目を閉じる
丘には坊やの引くソリの
ワダチを雪が消し始め
坊やの鳴らす鐘の音が
雪の丘にこだまする
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