僕は君に会いに行くよ

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 彼がどこでどんな仕事をしているのか、僕は知らない。  ここで偶然会って、話をするだけだ。  あまり人と話さない僕が自分のことをよく話すのは、彼がどこの誰でどんな人か良く知らないからなのかもしれない。  個人的情報を知らない方が、本心を見せやすいのかもしれない。  医者やカウンセラーに誰にも見せなかった心の奥底を打ち明けてしまうように。  塩のきいたカシューナッツとピーナッツをいっぺんに口に入れる。  香ばしさと塩味が口の中にまだ残っているうちに、冷たい琥珀色の液体を喉に流しこむと、喉が焼けるように熱くなった。    僕は奇妙な偶然が重なった飲み会の話を誰かに聞いてもらいたかったんだ。  へえすごい偶然だね、そんな偶然ってあるもんだねと笑い飛ばしてほしかった。  でも、彼に話せばこうなるだろうってことはわかっていた気もした。  結局、僕はぐるぐる同じことをいつまでも考えるはめになる。  何の役にも立たないと分かっていても。
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