僕は君に会いに行くよ

102/165
前へ
/165ページ
次へ
「座れ。落ち着けよ」  手のひらを僕に向かって開いて押し出すようにする宇津木を「よくもそんな出鱈目を」と睨み付ける。 「お前があんまりスカしてるからさ。蹴っても殴ってもやり返すわけでもない、何か言うわけでもない、でもなんかわかるんだよ、こっちを見下してる感じが。女子が話しかけてもそっけない感じで何様だよってムカついてさ。山田賢人はゲイらしいぞ、女に興味ないんだってさって軽く言ったぐらいだけどな」 「軽くじゃないだろう。随分しっかりはっきり言ってくれているじゃないか。それにやり返さないからムカつくって何なんだ。そんなの、言いがかりじゃないか」 「まあ、そうだな、だからあやまったじゃないか。だけどお前にだって非がないわけじゃない」  僕にどんな非があると言うのだ。  やはりこいつは変わっていない。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加