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無言で宇津木の手を振り払い、顔をしかめ日陰に向かって歩き出す。
「何だよ、その態度は。おい、山田、じゃあお前は女と付き合ったことがあるのか。まさかまだ童貞だとか言うんじゃないだろうな」
ああ、うるさい。
大通りのこんなにも人が行きかう中で一体何を言い出すのだ。
早くひとりになりたくて僕は足を速めた。
「おい、待てよ。逃げるな。大体お前は勝手だぞ。休日に人を呼び出しておいて何なんだ。ちょっと気に入らないことがあったらもういい、だと?こっちは全然よくねえんだよ。ふざけんな」
「これで終わりだ。全部チャラにしてやる」
「はあ? チャラにしてやる、だと?」
僕は無言で背を向ける。
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