僕は君に会いに行くよ

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  久しぶりの村上からの電話にうっかり出てしまった。 「さっきカケルから電話を貰ったの。家を紹介してくれるって。山田君が頼んでくれたんだってね。ありがとう」  宇津木と別れてから三日しか、たっていない。 その間にあいつは物件を探し、段取りをしてくれたのか、何だよ優秀じゃないか。 「いっしょに来てくれないかな」 「どこに」 「カケルが部屋を見せてくれるって言うんだけど、1対1というのがなんかちょっとね」  人と関わるとろくなことにならない、と高校時代に刻んだ教訓を忘れかけていた自分を呪った。 「悪いけど無理だ」  ここはきっぱり言うしかないだろう。 「どうして?」 「もう会わないと決めたから」
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