僕は君に会いに行くよ

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「だから鈴木君には頼めない。結局、家にも行かなかった」 「でも昼間は鈴木の家に……」 「できないよ。そんなこと」  好意に付け込むなんてできないよ、そういうことなのか?   村上のプライドはへし折られてもすぐにそびえたつみたいだ。  それじゃあ苦しいだろう、辛いだろう。  でもそれが村上凛なのだろう、きっと。 「カケルと山田君っていいコンビだと思う」 「まさか」  いじめっ子といじめられっ子じゃないか。  図式にすれば、やる方やられる方の二人一組完璧なコンビには違いないが、僕にとってはいいコンビではない。 「そういえば」 「わかった」  いい加減電話を切りたくなった僕は結局、村上の言いなりになるほかなかった。 「いつ、何時にどこへ行けばいい?」
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