僕は君に会いに行くよ

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「まれにそういう物件がある」 「でも五万円か」  村上が肩を落とした。 「まあ、東京にしては安いよね」  慌てて僕はフォローした。 「だってトイレバス付じゃないとダメだろ? そんで畳は嫌なんだろ? あと買い物できるそこそこ大きなスーパーが近所にないと無理とか言うだろ?」 「よくご存じで」 「仕事だから。じゃ、行くぞ」 「はいっ」  歩き出した宇津木の後ろをうきうきと村上がついて行く。  ほら、やっぱり僕はいらなかったんじゃないか。二人の少し後ろから仕方なくついて歩く。
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