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言った瞬間、本当に殴られた。
宇津木は手加減というものを忘れてしまったらしい。
殴られた衝撃で僕は吹っ飛び道路に左半身を打ち付けた。
「山田君、大丈夫?」
頭の上で村上のしゃがみこむ気配と「あ、切れてる」という声がした。
「なんだよ、だらしねえな」
宇津木が僕の脇にしゃがみこんだ。
「もっと殴れよ」
「あ?」
「もっと、殴れ」
上半身を起こして宇津木に顔を向けた。
「何だよ、お前ゲイでマゾか」
わざと怒らせようとしたのだろうが、腹は立たなかった。
「殴れ」
宇津木には殴る権利がある。
「ぼこぼこにしろ」
「何を言っているんだ。立てよほら」
差し出された手を振り払う。
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