僕は君に会いに行くよ

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 あの日、鈴木から電話を貰って「村上も一緒だ、一緒に飲もう」と誘われた時、思ったのだ。  いっしょに飲もうよ、なんてよく言えるな。  限りなく退屈で苦痛に満ちた三年間。  僕にとっては思い出したくもないあの日々が彼らにとってはそうでないということ、気まぐれな電話一本で忘れようと封印していたはずの過去をよびさまされたこと、そして僕がどんな思いをずっと抱いていたのか全く知らないでいる、知ろうともしていない無神経さが無性に腹立たしかった。
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