僕は君に会いに行くよ

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 妙にきっぱりと自信たっぷりに言う。   何だよお前、それって随分な片想いじゃないか。  しかもなんてあきらめの悪い……。  さすがストーカーになるだけのことはある、そこまで誰かを好きになれるなんて呆れるを通り越してうらやましくなる。  それにしても驚きだ。  全然、気付かなかった。 「……そうだったのか」  駅で待ち合わせていた時「格好いい」とつぶやいたこと、ファミレスで甘党の宇津木に砂糖を差し出したこと、清掃の仕事をよりによって一番見られたくない人に見られたこと……村上を助けるために宇津木を巻き込んだことで僕は随分村上を傷つけたんだな。  それからそんな村上をそばで見ていた鈴木のことも。  上出来じゃないか。  狙っていた以上の成果だ。  僕はみんなを傷つけてやりたかったんだから。
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