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暗い顔で辛そうに語る鈴木を見ているとイライラしてきた。
恋に狂ったあきらめの悪いバカだ。
純情一途な恋物語の主人公にでもなったつもりか。
「そんなにずっと見ていたのなら、村上が道を踏み外しそうになったときになぜ正してやらなかったんだ」
「したかったさ!」
鈴木が吠えた。
「お前にわかるか?ずっと見ているだけで何もできないつらさ、くやしさがお前にわかるか?」
おいおい、そんなに顔中くしゃくしゃにして泣きそうな顔をするなよ。興ざめだ。
「ずっと好きだった子が妻子持ちと不倫してそいつのために寮を出て部屋を借りるなんて」
そう、それが転落の始まり。
歯がすり減るほど歯ぎしりしても足りなかっただろう。同情するよ。
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