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ああ、やっぱりそうか。
偶然なんて早々起こるものじゃない。
全ては鈴木の思惑から始まった。
僕はそれに巻き込まれただけだ。
巻き込まれついでにちょっと利用しただけだ。
僕はほっとして軽口をたたいた。
「やっと行動を起こしたのか。一歩踏み出すのに何年かかるんだ。亀の歩みより遅いじゃないか」
「お前にそんなふうに言われたくないね。オレをストーカー呼ばわりしたが、お前の方が悪質だ。本当に盗聴器を仕掛けるなんて。新宿で飲んで、村上がお前の家に泊まったあの夜に仕掛けたんだ。そうだろう? それしか考えられない」
「何のために、僕がそんなことをしなきゃならないんだ?」
「それを聞いているのはこっちだ。何でそんなことをしたんだ」
鈴木の血走った目が殺気立っている。
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