僕は君に会いに行くよ

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 僕は薄暗がりの中、目を凝らす。  村上凜の規則正しい呼吸とかすかに上下する胸、少し開いたくちびる、たいして親しくもなかった彼女がすぐそばで眠っている不思議。  彼女が失った部屋はどんな部屋だったんだろう。  僕の知る村上は高校時代の学級委員の村上であり、そのころの村上の部屋なら大体想像がついた。  本棚と机(もちろん小学校時代から使っている学習机セットだ)ベッド(あるいは畳の部屋で布団を敷いていたかもしれない)そして本棚。それほど大きくはないぬいぐるみがひとつかふたつ、やわらかな色彩のカーテン。  こざっぱりした、ありきたりの標準的女子高校生の部屋、それが僕の抱いていた村上凛のイメージだ。
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