38人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
僕は薄暗がりの中、目を凝らす。
村上凜の規則正しい呼吸とかすかに上下する胸、少し開いたくちびる、たいして親しくもなかった彼女がすぐそばで眠っている不思議。
彼女が失った部屋はどんな部屋だったんだろう。
僕の知る村上は高校時代の学級委員の村上であり、そのころの村上の部屋なら大体想像がついた。
本棚と机(もちろん小学校時代から使っている学習机セットだ)ベッド(あるいは畳の部屋で布団を敷いていたかもしれない)そして本棚。それほど大きくはないぬいぐるみがひとつかふたつ、やわらかな色彩のカーテン。
こざっぱりした、ありきたりの標準的女子高校生の部屋、それが僕の抱いていた村上凛のイメージだ。
最初のコメントを投稿しよう!