僕は君に会いに行くよ

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「知っていたんなら知っていることを全部、最初から教えてくれればよかったじゃないか。村上が可哀想だろう? あんなにおびえていたのに」 「じゃあ鈴木ならどうした? 嘘であろうと本当であろうとあっちは五百万要求しているんだ。それって嘘でしょう聞きましたよ、だまそうとしたんですよね、と言ったところではいその通りです、すいませんでしたで済むか? それに不確かな情報を流してそれがハズレだったら困る。最悪の状況を想定して動くにこしたことはない。だからあえて何も言わなかったんだ」  僕は悪くない。  いつも正しい。  悪いのはその正しさがわからないお前たちだ。  その他大勢のお前たちはいつだって数ですべてを決めてかかる。  その他大勢が一番正しい、大勢の中に紛れていれば安全だ、だから異分子を排除し蔑み傷つける。  みんながいれば怖くない、みんな同じならそれが一番だ。  笑いたくないことも一緒に笑えば楽しくなるし、正しくないこともみんなでやれば正しいことになる。  一人では何もできないくせに。  そんなやつは、どこかで似たようなやつと群れていればいい。
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