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ショットバーでもう一人の山田と心の中で誰にも聞いてもらえない話をえんえんとして、欲しい言葉を与える、ひとり二役なら傷つけられることもない。ずっとずっとそんなふうに続いていくはずだった。
僕も多分、宇津木に会ってダメになったのだ。
宇津木でさえ変わったのに全く変わっていない自分を見せつけられて打ちのめされたのだ。
山田さん、と僕は胸の内に呼びかける。
どうしたらいい?
どうしてこんな気持ちになる?
なぜ今日わざわざ鈴木に家に行きたいなんて電話をかけたんだ?
鈴木がまるで気付いていなくて「とにかくうまく収まってよかったねえ」なんて言っていたらきっと僕は自分からすべてを話していただろう。
つまりこれも想定内、僕は嫌われるためにわざわざ出かけて行ったんだ。
本当にどうかしているね。
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