僕は君に会いに行くよ

　触れた途端に爆発したらどうしよう。
　そんなことを本気で心配するのは、きっと僕がまともな人間じゃないからだろう。
　普通の人なら、自分に爆発物が届くなんて思いもしない。
　恐る恐るドアノブから紙袋の手提げ部分を外すと、ぱしゃりと音がして白い封筒が落ちた。
　「山田君へ」筆圧の高い右上がりの癖がある文字、裏を返すと「村上凜」とあった。
　ああそうだ。村上ってこういう字を書いていたよな。
　ほっとして（多分生ごみでも爆弾でもないはずだ）ドアを開け、紙袋を抱えたまま部屋に入ると封筒を開けた。