僕は君に会いに行くよ

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 この部屋には派手すぎるクッションを見るたびにどきりとしていたのは最初だけで、今はもうすっかりこの部屋にあることが当然になっている。  慣れとはすごい。  食べて眠ってどこかへ行って帰ってくる、この部屋を出て戻る、何度も何度もそれを繰り返し日々を重ねる。  何も変わらない。  どこでどんな家に住んでも仕事を変えたとしても、クッションがひとつ増えたとしても僕は僕であり続けるだろう。 「あのな、部屋は部屋だよ。ただの箱。大きかったり小さかったり、家具だのなんだのいろいろあるけどな、毎日いろんな部屋見てたらどれも一緒だよ」  宇津木ならそう言いそうな気もする。
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