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今でもビルの五階にある書店には時々行く。
同じフロアにあるショットバーで飲むこともあるが、もう一人の山田が現れることはない。
変わったことは、スマートフォンの着信音がやたら気になるようになったことぐらいだろうか。
あんなに無頓着だったのに、自分のスマートフォンを取り出して確認してしまう。
もう、かかってくることはないはずなのに。
あの頃の会話や着信履歴を指でなぞりながら、くらっとするほど冷たい液体を飲む。
もしも今ここで、電話がかかってきたら、僕はどうするだろうか?
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