僕は君に会いに行くよ

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 落ち着け。  あいつは栃木にいる筈だ。  息を吐いて、リラックスしろ。  違う角度から見たら、それほど似ていないに違いない。    世の中に、似た人は三人はいると言うからな。  しかし、背の高さも、尖ったような雰囲気も、細い目も眉も唇も、斜め後ろから見る限りまるで宇津木そのものじゃないか。  なんてよくできたそっくりさんだ。  そっくりさんだと思うとなんだか可笑しくなってきた。  電車の中でひとり声を出して笑うのはよくない気がしたので頬に力を入れて笑いを飲み込んだが、なんらかの気配を感じたのだろう、男がふりむいた。  ぼくは息をのんだ。
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