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「座ろうぜ」
宇津木はホームに設置されているベンチをあごで示した。
「コーヒーでいいか?」
自販機の前で宇津木が聞いた。
「あ、はい」
思わず返事をしてしまう。
ガシャン、という音が「一本一万円」に聞こえた。
「ほい」
渡された缶がものすごく重たく感じられた。
「すげーな。電車の中で偶然会うなんてありえなくね?」
「う、うん、そうだね」
「おまえ、どんな仕事してるの?」
「コピー機のメンテナンス」
「コピー機?」
僕は勤務先の会社名を口にした。
「おお、知ってる知ってる。お前、ずいぶんでっかい会社に就職したんだな。すげーな」
素直に言われて逆にへどもどした。
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