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偶然が続くともうそれは偶然ではないんじゃないか、コピー機のローラーを掃除しながら、ここ最近何度も思ったことを、また思う。
機械だってみんな「偶然勝手に壊れた」みたいに言うけれど調子が悪くなったりエラー表示が出るのは必ず理由があり原因がある。
何度か紙を通して引っ掛かる場所を探り汚れの出る位置を確認しながらそんなことを考えていると後ろから突然声をかけられた。
「あの、紙詰まりって出たので紙は取り除いたんですが、それから調子が悪くて。直るまでに時間がかかりますか?午後から会議があって資料を揃えなきゃならないんですけど」
僕はフロアにある時計を見上げた。十一時四十分。
「大丈夫です。紙は取り除きましたから」
「紙?」
僕は親指と人差し指で一センチほどの三角形の切れ端を見せた。
「ああ、角が千切れて残っていたんですね」
「切れ端が残っちゃうことってよくあるんですよ。あと、紙の粉がたまるとローラの滑りが悪くなるので紙が詰まりやすくなっちゃうんです」
「紙の粉?」
「紙ってけっこう粉っぽいんですよ」
「そうなんですか」
女の子は興味なさそうに時計を見上げた。
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