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「へえ。今日は変わったものを飲んでいるね」
びくりとして顔を上げると、僕のグラスのすぐ隣に氷の塊と琥珀色の液体が入ったグラスが置いてあった。
彼の飲むものはいつも変わらない。
「ああ。今晩は」
「何でそんなにびっくりしているの?」
「いや、今日は金曜じゃないし。平日にもよく来るんですか?」
「たまに、気分転換したい時にね。そんなにしょっちゅう来ているわけじゃないよ」
「そうですよね、月に一回も会わない時もあるし。でも飲み物はいつもウィスキーのロックなんですね」
「好きなものは変わらない。なんだよ、そのグラスに浮かんでいる葉っぱは」
「ミントです」
「ミント。それ、うまいの?」
「葉は食べていませんが、カクテルは美味しいです。ちょっと甘いけど」
「ミックスナッツです」
カウンターの中からすいと手が出て黒いテーブルの上に白い小皿が置かれる。
「いつも同じもので飽きませんか?」
「飽きない」
短く答えて彼はカウンターの上に肘をついた。
「息抜きに変化は求めない。なーんてね」
「今日は求めたい気分になったんです」
僕は飲むのに邪魔なミントの葉を、グラスの底に押し込んだ。
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