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あれから、どうなったか気になっていたんだと会うなり鈴木が切り出した。
もちろん偶然会ったわけじゃない。
僕が呼び出したのだ。
「気になっていた?」
わざととぼけた声を出してメニューを広げた。
居酒屋やファミレスのメニューってどうしてこうも大きいんだろう。
二人席のテーブルは限りなく正方形に近く狭い。
膝の上に立てるようにして眺めながら鈴木の次の言葉を待つ。
「とりあえず、生でいいかな」
聞きながら顔はもうおしぼりと水を持ってきた店員に向けている。
「生二つ」
「生二つ、あとは」
「またあとで」
メニューを眺めたまま言うと店員は「かしこまりました」とにこやかに立ち去った。
「お前、あれからどうした?」
「あれから、って?」
わざと、とぼけた声で応じるとじれったそうに身をよじった。
「村上だよ、村上凛」
「ああ、村上」
「あれから、盛り上がった? まさか山田、オオカミに変身したりしてないよな」
「あの日は満月じゃなかったと思うけど」
「そういうことじゃなくて。もう、わかってるだろ!」
唇を上向きに引っ張って笑顔を作ってはいるけれど、その目はちっとも笑っていない。
これがこいつの本性か。
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