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「村上凜を泊めたんだろ?」
「なんで僕が村上を泊めなきゃならないんだ?」
「泊めなかったの?」
鈴木の声が跳ねあがる。
「声、大きいよ」
「いや、ごめん。ちょっとびっくりしてさ。だって村上、家ないじゃん」
「家ないってそれどういうこと?」
僕はシラを切ることにした。
そっちがその気ならこっちだって簡単に手の内を見せるわけにはいかない。
「え、聞いてないの?」
「聞いていない」
「あー、オレも詳しくは知らないんだけどさ」
次々運ばれてくる料理をつつきながら得意そうに語りだす。
「会社クビになって家賃払えなくなったみたいでさ」
クビ? 村上は辞めた、と言っていたがクビになったのか。
「男と住んでたみたいだけど、別れて、仕事もクビになったっぽい。それで家賃払えなくなって仕事と住むところと両方探していたみたいなんだけど、ほら、仕事決まってなかったら部屋ってなかなか貸してもらえないじゃん? 勤務先とか収入とか保証人とか、そこらへんでつまづいちゃって住むところは決まらないわ仕事は見つからないわで家賃滞納して追い出されたみたいなんだ」
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