僕は君に会いに行くよ

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「悪循環ってやつだな」  相槌をうちながらも心臓の音が早くなっていくのが聞こえる。  なんだかちょっと話が違うじゃないか。 「あの村上凜がね」  鈴木がため息をついた。「あの村上が、ね」僕も同意した。  彼女はきっとまっすぐに間違うことなど何ひとつなく進んでいくと思っていた。  いつだって正しい選択をし、そこそこいい感じでやっていけるはずだと彼女を知る人はみんな思っていたはずだ。 「詳しくは知らないって、ずいぶん詳しいじゃないか」  僕がそう言うと慌てて「そんなことないよ。これ以上のことオレ知らないし」と誤魔化すように急いでから揚げに手を伸ばした。 「それって、村上から聞いた話なの? 僕が聞いた話とちょっと違うけど」  鈴木の目と口がぽっかり開いた。 「お前、村上からは何も聞いていないってさっき言ったじゃないか」 「会社の寮にいたけど、クビになって出た、とだけ聞いた」 「クビになって出たんじゃない。男と暮らすために寮を出たんだ。途中を省略したんだな。もっとも言いたくなかったんだろうけど。そっか、お前泊めなかったのか。泊めてくれって言われなかったんだ。そうだよな、言わないよな。同級生とはいえ、女ならともかく男だもんな、そりゃやっぱりまずいよな。なんだ、なんだ、そうか、ははっ」  一人笑って頷いて納得している。 「鈴木、あの時ずいぶんあせって帰ったけど何で?」
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