僕は君に会いに行くよ

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「ひとーつ、無視」 「え、それ解決法なの」  僕はきょとんとした。 「ふたーつ、五百万円払う」 「いやいや、あり得ないでしょ」  鈴木が呆れた、という顔をし、村上は暗い顔をますます暗くする。 「みーっつ、やっつける」 「どうやって」  三人の声が揃った。 「さあ、どれにする?」  宇津木はのっしりと腕を組んで椅子に身を沈めた。  なんだか親分と、取り巻きの子分みたいじゃないか。  やっぱり宇津木は宇津木だ。  ふんぞり返って言いたいことを言う。  なんだかおかしなことを言っているとわかっているのに神妙な面持ちでそうですかと聞いてしまうのは高校時代の名残なのか。 「どれにする……って言われても」
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