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「僕、成績は良かったんです」
「そうだね。真面目そうだし、見るからに勤勉タイプだ」
彼は微笑んだ。
「がんばって勉強して、世間一般で言ういい大学に入って、一流といわれる企業に就職して、それが勝つってことだと思っていました」
「勝つって、誰に?」
余裕たっぷりに聞かれて僕は返答に詰まる。
「まあ、言わんとすることは大体わかる。世間の尺度というものはそういうものだからね。一流大学を卒業したと言えばたいていの人はすごい、と言うだろうし、誰でも知っている企業の名前を勤務先に記入することができればクレジットカードの審査もすんなり通る」
「でも、間違っていた気がします」
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