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「大の男がお子様用カレーを注文できるかよ、っていうかここの店の辛さ基準はおかしいぞ」
はあはあ舌を出して空になったコップに水差しからたっぷり水を注いだ。
「おまえ、さっきからなんで水を全然飲まないんだよ」
「辛さが薄れるから」
「げ。やっぱりオレはお前が嫌いだ。しかもお礼に昼飯奢るって言っといてカレーかよ。相変わらずふざけてんな。どうせなら寿司とか焼肉とかキャバクラを奢れよ」
「今までふざけたことなんて、一度もないよ」
宇津木相手にふざけるなんてそんな度胸があるはずもない。
「ナナバレイにでも行ってみるか」
ナナバレイ。それは村上が少しの間だけ働いていた例の店だ。
「笑えない冗談はやめて下さい」
「レイナってまだあの店にいるのかな。あの茶番は店長とレイナのどっちが考えたことなのかわかんねえけど、セコイよな。つまんねえ人生だな。人を騙した金で遊んでも楽しくねえだろうがよ」
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