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「今さらだけど村上ってなんでああなっちゃったわけ? 信じられねえよ」
荷物まとめろ、と腹に力を入れた大声で宇津木が言うと村上は洋服かけから服を二、三枚ひきはがし、畳の上に山になっている服やらポーチの中からやや大ぶりのバックを引っぱり出した。
茶色がベースのロゴが一面に入った、僕でも知っているブランド物のバッグだ。
「それが全財産か?」
村上は頷いた。
「そのバッグだけやけに立派だな」
「二十歳の誕生日に父親が送ってきたの。趣味じゃないけど突き返すのも悪いし」
ふーん、とだけ返してそれ以上のことは聞かなかったらしい。
デリカシーの欠片もない宇津木にしては上出来だ。
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