僕は君に会いに行くよ

「え」
「もちろん、知らん顔をしたよ。向こうも気づかないふりをしていたけど、絶対わかっていたと思うよ。だってオレ、村上にすいません、清掃中ですって言われたんだから」
「そりゃ……気付くよね」
「だろうな。まあびっくりしすぎてお互い声も出なかったっていうのが正しいかも。あれだぜ、お前、びっくりしすぎるとわあとかきゃあとか意外に言わないもんだぜ？」
「それからは？」
「いや、それっきり会ってないけど」

　会ってダメになった、ってこのことなのか？
　僕はてっきり村上が宇津木に何かされたのかと思っていた。

「まあ、プライドは相当傷ついただろうな。学級委員が清掃員で、問題児だったオレがスーツ姿だったというだけでばかばかしい、やってられないって気分にはなるだろうからな」
　ぽっきりプライドの折れた村上はそれですべてが嫌になってしまったのかもしれない、いやきっともうとっくに嫌になっていたんだろう。