僕は君に会いに行くよ

97/165
前へ
/165ページ
次へ
「言っておくけど、それで手伝ったわけじゃないぞ。なんつーか知り合いがハメられてるってなんか気分悪いじゃん。だからだよ」  宇津木にそんな感情があるとは知らなかった。  倫理観や正義感が抜け落ちたやつだとばかり思っていた。 「頼まれついでにもうひとつ、いいかな」  以前の僕なら到底、口にしなかったであろう言葉を口にする。 「いい気になるな」 吐き捨てるような鋭い声に昔の僕ならビクついてへどもどと逃げただろう。  不思議だ。  高校時代あんなに怖かった宇津木をそれほど怖いと感じなくなっていた。  僕が変わったのか。  宇津木が変わったのか。   多分両方なんだろう。 「やっかいごとはお断りだ」
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加